すべて失い、何も得られぬことを失恋と呼ぶ

久しくなかった気持ちが・・・
いまここにある・・・。

悔やみ・・・。
僕は自分の愚かさに
嘆いている。
僕の短絡的な行動・・・
その代償に失うもの・・・。


僕が僕でいられる唯一の時間を
僕がこの手で壊した・・・。
分かってたハズなのに・・・。
ずっと続けばいいって思ってたのに・・・。

それなのに・・・それなのに！
壊してしまったのが、僕自身・・・？
愛した時間が、こんなにも愛おしい時間が！
禍々しい音を立てて
崩れ去った。

たくさんの心が傷ついた。
僕が傷つけた。
結果は見えてたハズなのに！
あの笑顔を失うと
気づいてたハズなのに！
僕のこの眼に映ってたのは
一体なんだったのかな？

僕はいつも誰かを
傷つける・・・。
傷ついて歪んでしまった僕の
心がそうさせる。
この棘がいつも誰かを傷つける。

それでも僕は被害者ぶるほど
歪んでしまった・・・。
もっと素直だったなら・・・
誰も傷つけずに
済んだのだろうか？
　
でもこれで区切ることが出来るんだと思う。
時間はかかっても。
僕のゴールデンエイジは終焉を迎え
ゴールドエクスペリエンスへと変わっていく。
決意の証として。

僕の心の終焉を飾る華として。
僕も終焉を迎えるための
船に乗らなくちゃ・・・。
だって僕ももう
ここにいる理由はないから・・・。

こうなってしまった以上
僕はもう誰かを信じる理由もないし
必要もない。
誰かを愛することもないし
世界に求めるものもなにもない。

この器に残ったのは
「喪失感」という
言葉だけじゃない大きな
なにか。
言葉を使えば
ただの一瞬だけ。
それでもその言葉が
どれだけのものか？

あまりの大きさにその脚は歩みを止め
その眼は視ることを止める。
人としての感情は死に
諦める為の理由を捜す。

諦観した気でいる僕も
同じだから判る。
だからこそ他人が辛いのは
見てられないし
軽い気持ちで辛いなんて言葉を
放つ人間は許せない。

僕らはまだ知らない。
言葉の意味を。
僕らはまだ知らない。
脆さも強さも。

木漏れ日のように滲む感情

あの人の声が聞こえる・・・。
あの人の動作が見える・・・。

自分のなかで心の整理
できたはずなのに・・・。
平気なハズなのに・・・・。

もう何もないハズなのに！
平気なハズなのに
こんなにも胸が締め付けられるのは
どうして・・・？
こんなにも苦しいのは
どうして！？

心の隙間から滲みでる
この気持ちはいったいなに・・・？

この気持ちに
どう向き合えばいいの？

私はこの先
どうすればいいの？

もうどうすればいいかなんて
わからないの・・・。

生きていた少年、死んでいく青年。

「今日はどこへ行く？」

あの日、少年は瞳を輝かせ私に尋ねて来た。

私は答えた。
「今日は、君の気の向くままに
この脚をすすめよう」

すると少年は小首を傾げ
考える。

「僕はきっと行きたいところなんてない」
「縛られるがイヤできっと目的地なんてない」

私は、少年がそう答えることを知っていた。

夢や目標。目的地も含め
目指すものが何もない。

願望や欲求。
枯渇して崩れ去る。
現実を忘れ理想に溺れる。

限界が見えていても
背伸びや無理をして
手を伸ばす。

その先にあるものを掴みたくて。
その先にある扉を開きたくて。

その日の暮れ、少年は言った。
「僕、もう帰らなきゃ」

私はその少年が道に迷い
日が落ちてしまうことを
知っていた。

道に迷って帰るまで
傷つきボロボロになることを
知っていた。


その少年の、少年らしい
眩しさに思い出すこともある。

少年だったころのこと。

その少年の未来のこと。


私の目に映るその少年は・・・。
私が見ていたその少年は
いつしかここに立ち
私と同じ思いをする。

何故ならその少年は
私自身なのだから・・・。